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厚生年金
厚生年金(こうせいねんきん)とは、正式には「厚生年金保険」といい、主として日本の民間企業の労働者が加入する年金制度である。加入者やその遺族のために、老齢年金、障害年金、遺族年金が社会保険庁から支払われる。
概要
一般の被保険者(労働者)は2006年9月分から、収入の14.642%を保険料として負担する。そのうちの半分は企業(雇用主)が負担するので、被保険者が支払うのは収入の約7.3%である。厚生年金は国民年金に相当する固定部分と報酬比例部分に分けられるが、保険料がどのような割合で振り分けられているかは明らかでない。
厚生年金保険は、法人事業所は従業員の人数に拘わらず、必ず加入することが求められる。個人事業形態においても、常時使用する労働者が5人に達すれば強制加入となる。5人未満でも、労働者の要求や事業主の同意があれば、加入することができる。このことを「任意単独被保険者」という。ただし、いずれの場合も個人事業主本人は厚生年金保険に加入できない。
一般の労働者に対する厚生年金の起源は第二次世界大戦下の1942年に施行された「労働者年金保険」であり、戦時下における労働力の増強確保と強制貯蓄的機能を期待する目的があったとされているが、手っ取り早い戦費調達手段として導入されたとする見方もある。
厚生年金保険法
(昭和二十九年五月十九日法律第百十五号)
最終改正:平成一七年一〇月二一日法律第一〇二号
第1章 総則
●第1条(この法律の目的)
この法律は、労働者の老齢、障害又は死亡について保険給付を行い、労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とし、あわせて厚生年金基金がその加入員に対して行う給付に関して必要な事項を定めるものとする。
●第2条(管掌)
厚生年金保険は、政府が、管掌する。
●第2条の2(年金額の改定)
この法律による年金たる保険給付の額は、国民の生活水準、賃金その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、速やかに改定の措置が講ぜられなければならない。
●第2条の3(財政の均衡)
厚生年金保険事業の財政は、長期的にその均衡が保たれたものでなければならず、著しくその均衡を失すると見込まれる場合には、速やかに所要の措置が講ぜられなければならない。
●第2条の4(財政の現況及び見通しの作成)
政府は、少なくとも五年ごとに、保険料及び国庫負担の額並びにこの法律による保険給付に要する費用の額その他の厚生年金保険事業の財政に係る収支についてその現況及び財政均衡期間における見通し(以下「財政の現況及び見通し」という。)を作成しなければならない。
2 前項の財政均衡期間(第三十四条第一項において「財政均衡期間」という。)は、財政の現況及び見通しが作成される年以降おおむね百年間とする。
3 政府は、第一項の規定により財政の現況及び見通しを作成したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
第2章 被保険者
第3章 保険給付
第4章 福祉施設
第4章の2 積立金の運用
第5章 費用の負担
●第82条の2(育児休業期間中の保険料の徴収の特例)
第6章 不服申立て
第7章 雑則
第8章 罰則
第9章 厚生年金基金及び企業年金連合会
2004年年金制度改正
自由民主党と公明党による与党年金制度改革協議会は、2004年2月4日に厚生年金保険料の引き上げについて合意文書を交わした。
厚生年金保険料は、2004年9月までは年収(総報酬)の13.58%(労使折半)であるが、2004年10月から毎年0.354%(労使折半)ずつ引き上げ、2017年度には年収の18.30%(労使折半)まで引き上げられ13年間で段階的に4.72%引き上げられることになる。
ボーナスを含めた平均年収が570万円である場合、2017年度の保険料は年額52万1550円となり、2004年度よりも13万4520円の負担増額となる(ただし、これらの保険料率は2004年度価格で表示されたものなので、インフレ率の上昇があれば保険料率も上昇する)。
厚生年金の支給額については、現役世代(働いている時)の平均収入の50%以上の水準を確保するという。 しかし、これに該当するのは40年間保険料を払い続けるモデル世帯だけである。
年齢別の保険料負担と年金給付額についての推計
厚生労働省は、2004年に国会で成立した年金改革案関連法案に基いた世代別の給付と負担の関係、給付と負担の見通しについての推計を公表した。
この推計は毎月払う保険料に65歳までの金利をつけて計算したものと、平均寿命まで生きたと仮定した年金受給額を金利で割り戻したものを比較するもの。金利を高く設定すれば65歳の時点の保険料は大きくなり、逆に年金額は小さくなる。なお、
●年金の財政見通しは運用利回りを3.2%と置いているが、この計算では金利に賃金上昇率の2.1%を使っている。運用利回りを使えば1.6倍になる。すなわち、「倍率」が高く見えるように低い金利を使った推計である。
●会社負担の保険料はのぞいて計算してある。これを計算に入れれば、受け取る年金額は納付した保険料の0.8倍。
●さらに、厚生年金給付には国庫負担の形で補助がなされているが、これは租税に由来する。
したがってこの財政再計算は実態より、負担を過小に、給付を過大に見積もったものである。実際の負担に対する給付比率は1倍を大きく下回る。
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2005年時の年齢 |
保険料(万円) |
給付額(万円) |
倍率 |
|---|---|---|---|
|
70歳(1935年生) |
670 |
5,500 |
8.3 |
|
60歳(1945年生) |
1,100 |
5,100 |
4.6 |
|
50歳(1955年生) |
1,600 |
5,100 |
3.2 |
|
40歳(1965年生) |
2,200 |
5,900 |
2.7 |
|
30歳(1975年生) |
2,800 |
6,700 |
2.4 |
|
20歳(1985年生) |
3,300 |
7,600 |
2.3 |
|
10歳(1995年生) |
3,700 |
8,500 |
2.3 |
|
0歳(2005年生) |
4,100 |
9,500 |
2.3 |
(厚生労働省推計)
※モデル世帯の夫婦(ただし妻は1986年度以降のみ国民年金に加入)がそれぞれの平均余命まで年金を受給した場合。
※保険料は本人負担分。
※金額は物価上昇率で2004年度時点の価値に換算。
※端数処理のため倍率が異なることがある。
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現在の受給者 |
2025年度からの受給者 |
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|---|---|---|---|---|
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現役時の |
世帯の年金額と |
現役時の |
世帯の年金額と |
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|
(1) 夫は40年間就労 |
39.3万円 |
23.3万円 |
47.2万円 |
23.7万円 |
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(2) 40年間夫婦で共働き |
63.8万円 |
29.6万円 |
76.6万円 |
30.1万円 |
|
(3) 夫は40年間就労 |
55.3万円 |
27.4万円 |
66.4万円 |
27.9万円 |
|
(4) 夫は40年間就労 |
43.4万円 |
24.4万円 |
52.1万円 |
24.8万円 |
|
(5) 男性独身者が40年間就労 |
39.3万円 |
16.7万円 |
47.2万円 |
17万円 |
|
(6) 女性独身者が40年間就労 |
24.5万円 |
12.9万円 |
29.4万円 |
13.1万円 |
※手取り収入は、世帯の合計で、ボーナスを含めた月額換算。
2025年の金額は現在の価値に換算。()内は給付水準。
厚生年金保険法の改正
2004年2月10日に閣議決定された厚生年金保険法の主要な条項は次の通りである。
三十四条の改正
政府は政令で年金給付額を調整する期間を定める。調整期間の年金額再評価改定は、原則として名目手取り賃金変動率に調整率をかけた率を基準とする。
四十三条の改正
年金の受給権者が六十五歳に達した以降の年金額再評価率は、原則として物価変動率を基準とする。
八十一条の改正
厚生年金保険料率は2004年から毎年、0.354%ずつ引き上げ、2017年9月以降、18.30%とする。
二十六条、八十一条の改正
三歳未満の子どもを育てる厚生年金加入者の月額賃金が、子育て以前の月額賃金を下回った場合は、以前の賃金を年金額計算の基礎とする。三歳未満の子どもを育てる厚生年金加入者の育児休業期間について保険料を免除する。2005年4月1日から実施する。
四十六条の改正
七十歳以上で在籍者への厚生年金支給額について、賃金に応じて全部又は一部を支給停止する。2007年4月から実施する。
六十三条の改正
三十歳未満で遺族厚生年金の受給権を得た妻は、五年を経過すると受給権が無くなる。中高齢寡婦加算支給要件を見直す。2007年から実施する。
付則十一条などの改正
六十五歳未満で在職者への厚生年金支給額について、二割停止する現行方式を改める。
三章の改正
離婚した場合、厚生年金の分割割合で合意しているか、裁判所の決定があれば、厚生年金の分割を請求することができる制度を創設する。2007年4月から導入する。
年金種類・年金積立金等
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厚生年金基金 |
共済年金(職域加算) |
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|---|---|---|---|---|
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国民年金基金 |
厚生年金 |
共済年金 |
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国民年金(基礎年金) |
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※しばしば、厚生年金と比較して共済年金(公務員を対象としている)の給付水準が高いことが批判の対象となるが、上図を見れば明らかで、厚生年金でいうところの「厚生年金基金」を合わせて掛けているのと同じことであるから、水準が高いことは現制度上ではある意味当然とも言え、批判はあたらない(厚生年金基金も共済年金の職域加算も使用者、労働者各々が保険料負担をしている)。ただ、今後もこのような高水準の制度を維持すべきかどうかは、厚生年金基金制度も含めて検討する必要がある。
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加入者数 |
受給者数 |
年度 |
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3265万1000人 |
1191万1000人 |
1993年度末 |
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積立金 |
約91兆1134億円 |
1992年度まで |
外部リンク
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